U-NEXTサービス全面リニューアルの経緯とUIデザインコンセプト

2016-12-01

はじめまして、安藤(@goando)と申します。私はTHE GUILDと言う組織に所属しながらU-NEXTのサービスのUX/UIに関わる部分のお手伝いをさせていただいています。

U-NEXTは昨年10月に大規模なサービスリニューアルを行い、スマートフォン、タブレット、TV、PCなどの全てのプラットフォームのUIを刷新し、私をはじめTHE GUILDのメンバーで全てのUIのデザイン・構築を担当しました。

U-NEXTのものづくりを覗く事が出来る「inside U-NEXT」サイトの公開に際し、リニューアルの経緯やUIデザインのコンセプトをご紹介したいと思います。

動画ストリーミング市場

昨年末に米Netflixが日本でのサービスを開始した事が記憶に新しいですが、動画配信サービス(VOD)市場は近年益々利用者数が拡大し2018年度には約1500万人に達すると見込まれています。

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この市場の成長を後押ししているのは通信インフラの速度の向上、従来のTV機器の高機能化に加え、やはりスマートフォンをはじめタブレット等の場所と時間を問わず利用が出来るデバイスの普及が後押ししており、VOD事業者がサポートしなければならないデバイスは非常に多岐に渡ります。

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U-NEXTのサービス

競合ひしめくVOD業界にあって、U-NEXTは2007年よりVOD事業を開始し現在まで約9年に渡る動画配信の実績を持っています。

U-NEXTが提供する動画コンテンツのタイトル数は12万本と、日本の動画配信サービスの中では屈指のサービス規模を持っています。またSoftBankの提供するアニメコンテンツが見放題の定額サービス「アニメ放題」のサービスを支えているのもU-NEXTです。

biography

UIデザインの課題

私自身は2014年9月より、1年後に予定をしていたサービスのUI刷新を目的としてプロジェクトに参加させていただきました。
リニューアル前のU-NEXTのサービスのUIは、PC、TV、スマホ共にそれぞれが独自のユーザー体験を提供しており、各々のデバイスでそれぞれ独自の情報設計をしている様な状態でした。

この様な体験の断片化を無くし、サポートする全てのデバイスで共通する世界観、迷わない情報設計、均質なユーザー体験を与えるサービスに生まれ変わらせる事がリニューアルにおけるUIデザインの課題でした。

フラットデザインやマテリアルデザインの潮流が示すように、UIが従来よりも純粋に目的を達成するためのものに変化しつつある現在、マルチスクリーンのどのウィンドウからサービスに触れても同じ体験を与える事が出来、ユーザーが目的を果たせる事が近年のインターネットにおけるサービス事業者の重要な課題だと言えます。

タッチとリモコン

リニューアルにおいて担当したのはPCを除く、iPhone、iPad、Androidスマートフォン、Androidタブレット、Android TV、U-NEXTオリジナルSetTopBox、Amazon Fire TVなど非常に多岐のプラットフォームに渡ります。

これらのデバイスをUIの観点で分類すると、スマートフォンやタブレットなど指先で画面を触ってコントロールするスマートデバイスと、リモコンによって操作するTV系のデバイスの2つに大別されます。

インターネットのサービスはスマートフォンの登場と共に益々ネットに接続されている事が大前提となってきており、利用者はネットに繋がっている事すら意識せずに時間と場所を問わずにサービスを享受しています。

例えばU−NEXTのVODサービスで言えば、朝にドラマの一話をデバイスにダウンロードしておき、出勤・通学中の電車の中でドラマをスマートフォンで視聴し、夜の帰宅後にリビングのTVで映画を見ると言ったシナリオが考えられます。

この様に指先で使うデバイスとリモコンで操作する2つのデバイスに渡り、操作方法についてなるべくユーザーに意識させる事なく、VODのサービスが提供するメリット、即ちコンテンツの視聴と言う目的を達成させる事が出来るかが大きな課題でした。

綿密なリサーチ

これらの課題の解決に際して、プロジェクト開始当初に約1ヶ月間に渡り大規模なリサーチを行い、またリサーチで得た知見をU-NEXTチーム内で共有出来るようにレポートを製作しました。全体で200ページ程の大きなボリュームのものになりました。

リサーチの大きな目的の一つは、TVをはじめとしたモダンなリモコンUIが現在どのような形をしているのか、また将来どの様な変化をしていくかを予測する事で、各社TV、PlayStation、その他各社セットトップボックス等のUIデザインをリサーチしました。

中でもリニューアルで新たに採用するAndroid TVは2014年6月にGoogle I/Oで発表された直後でUIデザインのガイドライン等が整備されておらず、また参考に出来るアプリも殆ど無かったために、Google I/Oで参加者に配布されたAndroid TVのサンプル機を触りながら、通底するデザイン思想を読み解こうとしました。

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日本国内の競合サービスは勿論、海外の動画ストリーミングサービスに対してもサービス・UIの仕様を入念にリサーチしました。

特に海外のサービスについてはVODへの取り組みの歴史も長く、過去にどういったトライアル・アンド・エラーを試行してきたのか、歴史を紐解く事もリサーチでは実施しました。

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また動画配信サービスではありませんが世界的に普及している音楽配信サービスも参考にし、本年2016年9月にようやく日本でのサービスが開始されたSpotify、Pandora、Rdio、Vevo、Beats Music等もリサーチしました。

音楽配信サービスは非常にモダンで優れたUX/UIを提供しているサービスの多いカテゴリで、音楽配信サービスならではのセレンディピティの思想やコンテンツのナビゲーションの設計、オンボーディングのスムースなデザイン等、学ぶべき所を数多く発見しました。

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U-NEXTのサービス・コンセプト

ここでリニューアル後のU-NEXTの動画配信におけるサービスのコンセプトをご紹介します。

リニューアル後のU-NEXTは、コンテンツに対して一般的な「ジャンル」「カテゴリ」と言う分類の他に、「特集」と言う括りのコンテンツのグルーピングを持っています。

特集の例を幾つかご紹介します。

例えば「政治力より腕力が大事?戦うアメリカ大統領たち!」と言ったタイトルの特集には、戦闘力の高いアメリカ大統領が登場する映画が並びます。

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例えばもう一つ「役作りのために、そこまでする?これぞ役者バカ!」と言ったタイトルで「ブラック・スワン」をはじめ、如何にもストイックな役者が出ていそうな映画が並んでいます。

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ここでこの「ブラック・スワン」を選んでみると「10kgの減量に1年のバレエ特訓、その果てに振付師と結婚。そこまでやったナタリー・ポートマンのダンスは、まさに渾身の一言!」と、なぜこの映画がこの特集に選ばれたのかの解説が表示されます。読んでみるとなぜこの映画が選出されたのか納得がいきますし、他の映画についても根拠が気になる所です。

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この様に独自の切り口によるコンテンツの編成を行った「特集」が現時点で約3,000にも上り、今後も増え続けていきます。
これらの特集はU-NEXTの編成する業界の有識者による通称「賢者チーム」によって独自の視点で特集が組まれ、更に映画一点一点解説文のライティングが行われています。

動画ストリーミングに限らず音楽ストリーミング、その他のメディアそれぞれの分野で各プレーヤーがアルゴリズムを基にしたキュレーション・リコメンデーションに取り組んでいますが、U-NEXTはそこにコンテンツを知り尽くしたジャンル毎の有識者の知見を結集してキュレーションを行っています。

勿論すべてが人力で行われている訳ではなく、過去の視聴履歴や行動の解析によって、ユーザー毎にどの特集をお勧めするべきかは独自のリコメンデーションエンジンによって行われ、継続的な改善の積極的な投資を行っています。

この様に、プロフェッショナルの知見によるキュレーションと、アルゴリズムによるリコメンデーションを掛け合わせたコンテンツ・カタログ、これがU-NEXTのサービスの特徴です。

デザインコンセプト

以上のコンセプトを基に、プロトタイピング・デザインを繰り返し、リニューアルされた新しいU-NEXTのUIが完成しました。完成までの過程には紆余曲折がありましたが、当ブログinside U-NEXTで少しずつご紹介していけたらと思っています。

このムービーはモバイルとTVのU-NEXTアプリがそれぞれ、どのような共通した構造を持っているかのデザインコンセプトを表現した映像になっています。是非アプリをダウンロードして触っていただけると嬉しいです。

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U-NEXT – UI Design Concept
– Concept, UI Design and Direction: Go Ando
– Design & Animation: Masahiro Katsumata
– UI Design: Chiharu Kodama